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俗(続)他郷阿部家物語 令和六年度版

俗(続)他郷阿部家物語 令和六年度版

このところおばあさんは、娘が仲立ちして迎え入れたフレンチブルドッグの保護犬の「福」と、仲睦まじく暮らしておりました。これまでおばあさんの楽しみは、阿部家や大森町での日常のささやかな発見をインスタグラムに投稿することでしたが、福について投稿したことによりフォロワーが激増。おかげでついつい福の話題に偏ってしまい「いかんいかん。このところ福のネタばかりじゃ」と反省することしきりです。

昨年から、肩書きが代表取締役から相談役になったおばあさんは、大きな肩の荷が下ろせたことで「ありがたやありがたや。これからは、誰にも気兼ねなく本領が発揮できるぞ」と意気揚々と暮らしているのでした。

昨年のビッグニュースと言えば、何と言ってもアリス・ウォータースさんが阿部家にお越しいただいたこと。「オーガニックの母」と呼ばれ、カリフォルニアのバークレーにあるアリスさんのレストラン「シェ・パニーズ」は、全米一予約が取りにくいと話題になったほどです。「食べられる校庭」と称し、校庭に畑を作り児童たちが育てたオーガニックの野菜を給食に使い、遂にはミシェル・オバマ元大統領婦人の提案によりホワイトハウスにもオーガニックの畑を作ったとか。アリスさん来日の噂話は聞いてはいたものの、まさか阿部家にお越しいただくとは この話を聞いた時、おばあさんは驚いて腰を抜かしてしまいました。

さて、阿部家の改修も一通り終わったところで、おばあさんは土蔵から出てきた七代目 の阿部光格さんの日記を元に、阿部家の歴史、主に暮らしぶりの掘り起こしを始めたので した。日記によると、年末には「十二月十三日一、手前煤払到修ニ付乙十政蔵雇」とありま した。江戸の年中行事を記した「東都歳時記」には、十二月十三日は「煤払い」こと大掃除と書かれています。寛永十七年(一六四〇年)以来、江戸城内はじめ大名屋敷や旗本屋敷に並び、町屋も一斉にこの日が煤払いの日になったそうな。


江戸時代、天領だった石見銀山の武家屋敷「阿部家」でも、同じ日に煤払いをしたと日記に記されていることに、 乙十と政蔵お婆さんは合点したのでした。しかも「東都歳時記」に描かれた絵は、正に今の阿部家のやり方と同じでおばあさんはびっくり
しかも日記にはこの季節、光格さんが手土産に干し柿を持参したと記されており、更にびっくり 先日おばあさんは、お江戸に参じた際に干し柿をお土産にしたばかり。

歴史は繰り返されていたのでした。めでたしめでたし。

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福富家の活用についてはおばあさんがいつも言っている どうありたいかという「家の声」を聞いてからということに… おばあさんは最近インスタグラムにはまっています。
ご興味のある方はのぞいて見て下さい。
https://www.instagram.com/matsuba_tomi/

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