火をおこし、料理して食べる。リネンのシーツにくるまって眠る。野の花を摘んで花瓶に活ける。ぼんやり外を眺めながら物思いにふける。只今加藤家は、そんななんでもない暮らしの営みを楽しむ宿です。ゆったりと流れる時間と静けさがここにはたっぷり。古い家の包容力に包まれて、慌ただしい日々の中で忘れかけていたシンプルに生きる豊かさを、感じてみませんか。
江戸時代末期に武家屋敷として建てられたこの家は、明治以降、医師・加藤氏による全科医院として、大森の町の暮らしを支えてきました。年季の入った看板や薬箪笥、レトロな文様入りガラス、あるじが愛でたであろう茶道具など、屋敷のあちこちに残されていた在りし日の名残。只今加藤家はそれらを活かしながら、ここで過去と未来をつないでいきます。
人口約400人の小さな集落・大森町。ぶらぶらと通りを歩くと、家々の軒先からそれぞれの暮らしぶりが伝わってきて、心をほっと和ませてくれます。ここで生まれ育った人も、都会から移住してきた若者も、多様な人々を受け入れる懐の深さがこの町の魅力。あなたもしばしこの町の住人になって、人々と触れ合い、素顔の日常を楽しんでみてください。
只今加藤家は一棟貸しの宿だから、過ごし方は自由自在。大切な家族や友達と、水入らずのひとときを楽しめます。ともにわいわい過ごす時間も、みんなの輪を離れてひとり気ままにぼんやりする時間も、ひとつ屋根の下に一緒にいる安心感があるから心地よくて。ふだんの現実を少し離れて、暮らすことを遊ぶ時間。いつもより素直な本音の会話が飛び出しそうです。
只今加藤家は、私たちが手がけた古民家再生の10軒目に当たります。 江戸時代末期に建てられた由緒あるこの武家屋敷は、 昭和~平成と時代が移り変わる中で、かつての面影を失っていました。
私たちが試みたのは、家の声に耳を澄ませながら、
本来この家が持っていた、自然に沿ったつくりや風格を取り戻すこと。
こうして蘇った加藤家が、帰る田舎のない人や、
田舎はあっても家を失った人にとって、
ひと昔前のふるさとの実家のような場所になれればうれしく思います。